文責:南 昌宏のレース戦記・2006年6月号
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3DAY ROAD 熊野 戦記
個人総合優勝 逆転!狩野智也(シマノレーシング)に栄冠
大鯨を逸したミヤタ・スバルの作戦/飛車、角だけでは勝てなかったNippo
 2日目を終わって、団体総合はシマノの厚い戦力を崩せなかったが、個人総合で2回経験のある
ミヤタ・スバルは、エース鈴木 真理が初日優勝の余勢でリーダージャージを守りスタートした。
終日小雨交じりの初日、雨、風に悩まされた昨日とは打って変わった快晴の大地半島周回の最終
ステージは3年振りの開催で過去最高の18チーム80名の選手により優勝決定のステージにふさ
わしい熱戦で展開された。
 定刻、11時10分、実業団自転車競技連盟 柴沼正一朗理事長の「号砲」で始まった105Kmの
「鯨」の町内観光道路で最初にゴールに飛び込んできたのは飯島 誠(ブリヂストン・アンカー)。
1993年学卒現役で実業団2大クラブチームの1つ「ラバネロ」で13年間中心選手として活躍実業
団のトラック長距離、ロードを盛り上げた選手。本年から国内主力で王座奪回を目指すブリヂスト
ン入りで田代 恭崇選手とシマノ、ミヤタ、愛三工業に挑戦することになっている。
 実業団選手権2度のチャンピオンに輝き、その他実車連公式レース6勝を上げている本年度登録
選手中の最多勝選手である。ここ2、3年海外遠征が多く実車連の大会優勝は2002年以来である。

第3ステージ優勝を決めた飯島のガッツポーズ
(写真:Cyclingtime.com)
(レース経過=勝敗の分かれ目になった中盤の展開)
 9.6Km/周回で2周目から飛び出しレース中盤6周回目に先行していた9名(5周回で1〜2名の
入れ替わりがあったが)逃げを集団内1分20〜50秒以内のビハインドで展開を冷静に見ていた
飯島誠、狩野智也他2〜3名がアタックし追いついた。
7〜8周回の先行争いでそれまで逃げに加わり頑張っていた選手、追い上げで先行グループに加
わった選手、および集団は差を広げさせないスピードでの縦長の追走での攻防。本レース最大の
見応えのある場面の展開であった。
9.周回(残り2周)終了のスタート/フイニッシュ前通過では8名が猛追する集団を46秒離していた。
メンバーは、2周回より先行グループでレースを引っ張っていた、
  24山本雅道(シマノ) 12新保光起(愛三) 36三船雅彦(ミヤタ) 44佐野友哉(マトリックス)
  71二戸康寛(なるしま)と 5〜6周で追い上げた広瀬佳正(シマノ) 飯島誠、狩野智也

(写真:Cyclingtime.com)
 第1周回のラップが14分47秒(時速39Km)の早いぺースで始まった3年ぶりのレース。快晴とは
いえ海からふき付ける時折の強風は先頭を行く選手にとっては厳しい風圧があったであろう。この中
初回から意欲的に先行集団で頑張りラップまで取った41三浦恭資(マトリックス)、中盤まで逃げに
加わり放送員の絶叫で観客の注意を集めた中島康晴(鹿屋体育大学)、途中、追い上げ先頭グル
ープに入り、7周目先頭通過でベテラン健在を示した小室雅也(ダイハツ)の走りは印象的であった。

 主催者推薦で角口実行委員長のチーム・キナンCCDで来日したJamsran Ulzill Orsh(モンゴル)も
初回からの逃げに加わり先頭を引っ張る走りは成績につながらなかったが、審判団の評価で敢闘
賞受賞となり表彰会場を沸かせた。

レース中に機材車より提供受けるJamsran Ulzill Orsh選手
 勝敗の行方はこの先行選手が集団を1分以内のタイム差であったが引き離したことで決まった。
これまでの毎周回の先行グループを追いかけるため集団では、逃げに入っていないNippo、リー
ダージャージの選手がいるミヤタ、トップと数秒差で2回目の個人優勝を狙う愛三工業の個人総合
順位で上位のチームがそれぞれのエースの出番を狙って意欲的に先頭で集団を引っ張っていた
アシスト勢も先行のハイペースで残り2周では力が尽きてしまっていた。
(終盤、シマノ勢の作戦を読みきった飯島の力勝負)
 中盤のシマノの広瀬、狩野が先行グループに上がった時にこれをマークしていなかったことがミヤ
タにとっては大きな誤算であった。昨日まで僅差の2位岡崎和也(Nippo)、8秒差の広瀬敏(愛三
工業)をマークするのは当たり前としても、昨日の終盤で強風のため逃切切れなかった、強地脚の
持ち主、狩野選手のマークをはずしていたのが逆転された最大の要因である。残り2周でシマノ3
名の存在は各選手の戦歴からも強力で、追撃しているメインバンチで先行を吸収したい選手にとっ
ては苦しい状況であった。ミヤタは、10周回通過で最初から先行で鈴木のアシストに頑張っていた
三船雅彦を集団に下げエース(鈴木)追い上げのアシストに加える作戦に出た。
 このため集団は、最終回に入る時には22秒まで迫ったが、このコースの唯一の登りで狩野と、
飯島、新保がアタックし抜け出した。ミヤタの列車が集団の先頭で柿沼章を先頭にアシストが懸命
に追うが差は詰まらない。

 11秒の先行フイニッシュで集団にいる昨日までの個人総合上位者4名を逆転できる狩野に取っ
ては絶好の展開になった。同僚、広瀬、山本の目一杯の引っ張りで得意の登りでダッシュすれば
集団にいる鈴木、岡崎、広瀬(敏)との差は最終回通過のタイムから安全圏と思われた。
  登りの頂上通過は狩野、飯島、新保選手であったが、下り走行に1日の長のある飯島がラスト
2Kmでは狩野を引き離し大差でゴール。

 丁度、4年前開催の実業団選手権(通産大臣旗争奪個人の部)の長野県小川村公道山岳コ-ス
の最終回の2人のマッチレースの再現が思い起こされた。この時はかなり差があったが、長い下
下りで一気に引き離し、最後の上りも苦にせずロードスプリンターの名を返上する強さで2回目の
選手権を獲得した。

 ステージ優勝は逃がしたが、チームの個人総合四連覇達成を果した狩野智也選手は過去山岳
賞3回、ステージ1勝の実績はあるが見事な逆転初優勝であった。
 ステージ優勝なしでの個人総合1位の栄冠を獲得した記録はなく8回目にして始めてのサプライ
イズ優勝として歴史に刻まれるであろう。
■1,2ステージでの印象に残った展開
<第1ステージ>
 平坦なコースでゴールスプリントで勝敗が決まる展開の予想通りのレースであった。
3周回目で13名が抜け出し、集団との差1分以内で最終回に入る。真鍋和幸(Nippo) 飯島誠
(ブリヂストン)のベテランを先頭に4名、数秒ずつ遅れて3名、3名 35秒の差で第集団が続く。
最終の15.4Km意欲的に先頭で逃げグループの形成を狙う真鍋選手の走りが目立つ。残り3Km
Km地点では真鍋先頭に2,3名が最後の抜け出しを図るが不発。大集団でゴールに向かう。

 この大会でのステージ優勝経験者のスプリンターの首位争いは、1昨年の総合個人優勝した時
全ステージ優勝実績のある鈴木真理(ミヤタ)が、アシストを兼ねて先行した、先輩の三船雅彦を
差しきり優勝。ミヤタ勢の完璧の集団支配で交わせず、廣瀬 敏(愛三工業)が猛追も3位。
岡崎和也(Nippo) 狩野智也(シマノ)飯島誠抜け出せず。同タイムながら表彰台をはずす。
ベテラン真鍋の走りが目立つたレース。
 栗村ミヤタ監督の幸先よいスタートで満足の笑顔印象的
 横井愛三監督はメンバー不足参戦であるが、3,4位ゲットでまずまずの満足。

(写真:Cyclingtime.com)
<第2ステージ>
  春先ヨーロッパ参戦で力をつけている土井雪広(シマノ)が山岳賞狙いで「札立峠」の登り口の
青少センターからアタック、田中光輝、綾部勇成(愛三工業)と先行。トップで通過2位狩野智也を
寄せ付けず、最初の「千枚田」峠に続いて強いところを見せた。2回目の「千枚田」は狩野選手に
取られたが2位通過でポイント合計15点で「山岳賞」の早くも王手。(最終ステージで山岳賞決定)
国道311号に戻りゴールまでの約10Km地点から狩野選手の飛び出しで後続に30秒先行。8Km
では、真鍋選手が追いつき、向かい風との戦いで必死に逃げ込みを図る。しかし残り5Kmで吸収
され15名の集団ゴール。直線先行粘る岡崎和也にシマノのスプリンター山本雅道がゴールハンド
ルを投げるが届かず、第1ステージ優勝の鈴木真理は4位、5位に廣瀬 敏が入った。
■各選手・チーム監督のコメント
*土井選手「ヨーロッパでの疲れが抜けきれず総合順位で遅れをとったので山岳を狙った」

*狩野選手「例年だと2回目の千枚田を下り311号は追い風なのいで一気に決めるためアタックし
        たが強風でぜんぜんペースに乗れず残念」
*山本雅道選手「届くと思って踏み出したが、ゴールライン近かった。岡崎さんは強かった」

※第3ステージ後
*栗村ミヤタ監督「岡崎、広瀬(敏)のマークに集中しすぎた。狩野選手のアタックを見逃したのが敗
            因です」

※表彰式で
※三瀧光誠選手「U−23賞取れて嬉しい。実業団レースで走った経験を生かして、インカレで頑張
           ります」

※広瀬佳正選手「チームとして初日、2日と遅れをとり、なんとしてでも最終日を勝ちたかった。狩野
           選手を思いっきりアシストできて個人・団体総合優勝に貢献できて満足です。」

※藤野チームブリヂストンアンカー監督
          「今年は国内実業団レースを主体で活躍することになっているが、この1勝は弾み
           がつく。若手の今後の成長に期待してください。」
(おわり)
全日本実業団専務理事 南記
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